2017/10/13

モロッコのグナワ音楽

モロッコ王国はアフリカ大陸の北部にあり、大西洋・地中海に面している。
16世紀ごろモロッコに連れてこられた奴隷に関わるグナワという文化風習があり、その中で生まれたのがグナワ音楽。
モロッコ Morocco
グナワの音楽は悪い霊にとりつかれた人たち治療のために演奏されていたという。神様とのコミュニケーションとがとれる音楽。
演奏を続けることによってトランス状態(催眠によって表層的意識を無くし通常とは異なった意識感情が現れる恍惚状態)になり神に近づけるとされる。
代表的な楽器は、カルカバという金属でできたパーカッションと、ゲンブリという低音の弦楽器。トゥベルという大太鼓や手拍子が入ることもある。
カルカバ qarqaba gnawa
カルカバ qarqaba
ゲンブリ guembri gnawa
ゲンブリ guembri
トゥベル tbel gnawa
トゥベル tbel 
グナワ音楽は、ロックのミュージシャン等にも影響を与え、神がかり的な思想を残したまま商業的な楽曲としても広がりを見せている。


2017/08/09

神様と楽器

神様は音楽好きだ。
芸術を司るとかいう神様もいるけど、紙と筆をもった神様とか彫刻刀を持った神様は見たことはない。私の知る限りだけど。持ってるのは楽器なんだね。

パーンのパンフルート
パーンのパンフルート
パーンは、ギリシャ神話に登場する羊飼いと羊の群れを監視する神。腰から下が山羊で頭には角がある。
パーンは助兵衛な神様で、森の妖精のシュリンクスが好き好きでストーカー行為をくりかえした。
嫌がったシュリンクスは、ついに湖に逃げ込んで葦に変身。嘆いたパーンは、その葦を使って笛を作ったんだと。
そして、この笛の名はパンフルートとかシュリンクスとか呼ばれるようになったとか。

アポロンの竪琴
アポロンの竪琴
アポロンは、ギリシャ神話に登場する神。歌・音楽・芸術を司り 竪琴を持った姿で描かれることが多い。
音楽の腕を競う賭けで負けたマルシュアスを生きたまま全身の皮膚を剥いで殺すという えげつないこともしちゃう。

オルフェウスの竪琴
オルフェウスの竪琴
オルフェウスはアポロンの息子。父からもらった竪琴を弾く。
もともと音楽の才能があったので、その演奏には動物だけでなく植物までもがその調べに酔いしれたいう。
先に死んでしまった妻エウリュディケをこの世に戻すため、冥界にまで出かける物語は有名。

マルシュアスのアウロス
マルシュアスのアウロス
マルシュアスは、ギリシャ神話に登場する半獣神。2本が組になったアウロスという笛を吹く。
もともとこの笛は女神のアテーナーが捨てた物をマルシュアスが拾ったものだという。
調子にのってアポロンと音楽能力の戦いをしたけど負けちゃった。

シバの でんでん太鼓
シバの でんでん太鼓
シヴァは、世界の創造、維持、再生を司る最高神。頭のてっぺんから吹き出しているのはガンジス川の源流だというから なんか凄い。
武器である三叉の槍を持ち、でんでん太鼓も持ってる。この太鼓、何に使うのかな。

サラスワティーのビーナ
サラスワティーのビーナ
サラスワティーは、インドの女神で芸術・学問などの知を司る。腕が4本あり、そのうち2本でビーナを弾く。

サラスワティーが、日本に伝わり弁天様になったらしい。
弁財天の琵琶
弁財天の琵琶
弁財天は仏教の守護神。いわゆる弁天さんだ。ヒンズー教のサラスワティーが仏教の世界にやってきた。
サラスワティーはビーナを持っているが、弁財天は琵琶だ。

雷神の太鼓
雷神の太鼓
雷神は、民間信仰なんかで伝承されるカミナリ様。風神とともに屏風図に描かれた絵が有名。
雷神は10個ほどの太鼓を並べてドンドコと叩くらしい。それにしても、小さな太鼓。
本当の雷神を見たことはないが、もっと大きな太鼓を持ってるはすだ。でなきゃ、あんな大きな音は出まい。
いや、雷神は大昔から電気を使う技術があるので、ひょっとしたらアンプで音を増幅して雷鳴にしてるのかしら。

2017/06/27

長い長いラッパは 音でコミュニケーション

 楽器の分類は金属でできていても木でできていても、唇を震わせて音を出すラッパの類は「金管楽器」と呼ばれるもちろんプラスチックでもガラスでも材質に関係なく「金管楽器」だ。
という前置きをしておいて、ここでは長い長いラッパを紹介。
金管楽器は低音になるほど管は長くなるのだけれど、近代的な楽器は管をぐるぐると巻いたりしているので「長い」をそんなに意識しないかもしれない。
ここに載せたのは長くて曲げていない直管のラッパだ。まっすぐなので「長い」がそのまま長いと実感する長さになる。

 これらラッパは、楽器というよりは「音で連絡する道具」といった方が正しい。サイレンや半鐘みたいなもんだ。こんなところで近代的なアンプやスピーカー、トランシーバー、ましてスマホなどの機器があったらなどという話を持ち込んではいけない。古来よりの伝統的な道具の成り立ちの話をしているんだからね。
さて、例えば山岳地帯では山谷、草原、森林が広がっていて だだっ広い。そんなだだっ広い場所が仕事場の場合、遠距離でのコミュニケーションは音で伝えるよるのがいい。
とはいえ、遠くまで届くように大きな音が必要。弦楽器みたいに小さな音では役立たず。やっぱり、太鼓かラッパだろう。そんな中でラッパは指向性があるから、ある特定の方向に向けて発信するのに都合がいいようだ。
大きな音はもちろん、さらには その音は遠くまで届く必要がある。そうそう、音は低音のほうが遠くまで届くのだ。遠くでやっている野外コンサート会場からバスドラムやベースの音だけが聞こえてくるという経験をしたことがあるかもしれない。雷も遠ければ低い音が響く。
ここで紹介するラッパ・・・伝達用ラッパは 低い音を出すために管を長く長くする必要があったわけだ。
ウクライナのトレンビタ trembita
トレンビタ trembita
 トレンビタは、ウクライナの山岳地帯で、羊と犬を導く羊飼いに使われている

ルーマニアのブシウム bucium
ブシウム bucium
ブシウムは、ルーマニアのラッパ。
ウクライナとルーマニアの国境あたりには カルパティア山脈 がある。上記のトレンビタと同じく、このあたりの山岳地帯で、羊飼いに愛用されている。

アルプホルン alphorn
アルプホルン alphorn
長いラッパとして一番有名なのは、このアルプホルン。スイスなどの山岳地帯の住民に用いられている。アルペンホルンという名もあるが、アルプホルンのほうが一般的なようだ。

チベット仏教のドゥンチェン dungchen
ドゥンチェン dungchen
ドゥンチェン(ラグドゥンとも)は、チベットの僧侶が使う。寺院の高いところから、吹き鳴らす。

伝達用ラッパは 低い音を出すために管を長く長くする必要があと書いたけれど、管楽器は倍音を出しやすいので比較的高い音も出せるということも付け加えておきましょう。

世界の楽器 このサイト以外にも ...
弦楽器 はじいて音を出す
リュートの仲間
弦楽器 擦って音を出す 
弓奏楽器 バイオリン フィドルの仲間
弦楽器 ハープやチター 
ハープとチター
打楽器・叩く・擦る
パーカッション 太鼓 ウッドブロック
IROM BOOK

2017/05/18

神話の楽器 神様の楽器

アポロン Apollon
竪琴を持つギリシャ神話のアポロン
竪琴を持つアポロン
ギリシャ神話の神。全知全能のゼウスの息子。
アポロンは太陽の神で、音楽や芸術の神でもあるということで竪琴を得意とする。英語ではアポロ(Apollo)。
月面着陸に成功した宇宙飛行船の名はこのアポロからきている。
さらに、明治製菓には円錐形のアポロというチョコレートもあるね。これは宇宙船のアポロから形と名前を拝借している。


オルフェウス Orpheus
竪琴を演奏するギリシャ神話のオルフェウス
竪琴を演奏するオルフェウス
オルフェウスは、ギリシャ神話の神。
吟遊詩人であり、竪琴の演奏は巧みでとても美しい。演奏を聴いた獣や虫、そして草花までもがその音曲に魅せられたという。
ちなみに、この竪琴とその演奏技術はアポロンから譲り受けたもの。


マルシュアス Marsyas
アウロスを吹くギリシャ神話のマルシュアス
アウロスを吹くマルシュアス
マルシュアスは、ギリシャ神話の神でアウロスという笛を持っている。
アウロスは二本がセットになったリード発振の笛。この笛は、マルシュアスが道端に落ちていたのを拾ったのだけど、頑張って練習したのだろう、なかなかハイレベルな演奏ができるようになった。
ただ、拾ったアウロスは災いの呪いがかかっていた。アポロンと音楽演奏で戦ったが、その呪いのせいか負けちゃった。負けた罰として生きたまま皮剥ぎをされたんだと。


パン Pan
パンフルートを吹くギリシャ神話の牧神パン
パンフルートを吹くパン
パンは、ギリシャ神話の神。複数の葦の管を並べた管楽器を持っている。
羊飼いや羊の群れを見守る神ではあるのだけど、スケベなおっちゃんという一面がある。
かわいい森の妖精をつけまわしてたりする。嫌がった妖精は沼の中まで逃げ込み葦に変身したとか。その葦で作った楽器がこの笛。パンフルートとかパンパイプと呼ばれている。


バステト Bastet
シストルムを持つエジプト神話の神 バステト
シストルムを持つバステト
バステトは、エジプトの神話に登場する神。猫の姿をした女神だ。
手に持っているのは、シストラムという振って音を出す打楽器。日本でいう、いわゆるガラガラの仲間。神聖な儀式で使われた神具だったようだ。


サラスワティ Saraswati
ビーナを弾くサラスワティ
ビーナを弾くサラスワティ
サラスワティは、ヒンドゥー教の神で、芸術・学問を司る。手が4本あって、ビーナという弦楽器をもっている。
すべての手で楽器をひいたら、さぞかしすごい演奏ができそうなんだけど、サラスワティは2本だけの手で演奏するようですな。


シバ Shiva
でんでん太鼓を持つシバ
でんでん太鼓を持つシバ
シバ は、ヒンドゥー教の神。
トラの皮をまとっていて、ヘビを首に巻き付けていたり、三又の槍を持っていたりで、ちょっとこわい感じ。
そんな中で「でんでん太鼓(ダマル)」を持っているのはちょっとかわいい。


クリシュナ Krishna
バンスリを吹くクリシュナ
バンスリを吹くクリシュナ
クリシュナは、ヒンドゥー教の神。
クリシュナは、女性っぽい顔で描かれるが男の神。バンスリという笛を持っている。
この笛を吹くと、それを聴いた女性はみんなクリシュナに惚れれてしまうという。


弁財天(弁才天) べんざいてん
琵琶を演奏する弁財天
琵琶を演奏する弁財天
弁財天は、日本の神。弁天さんという通称で呼ばれることも多い。
ヒンドゥー教の女神であるサラスヴァティが日本に伝わったものだと云われており、持っている楽器もビーナから琵琶に置き換えられている。


雷神 らいじん
太鼓をたたく雷神
太鼓をたたく雷神
雷神は、日本の神。カミナリの神様であって、この神様が太鼓をどこどこ鳴らして雷を起こす。人間がお腹を出して寝ていると、へそを取ってしまうこともあるらしい。
太鼓は複数連なっており、日本のリアルな太鼓としては見かけないセッティングだね。さらに、撥(ばち)も棒の両方で打つようになっているようで、これも日本ぽくないね・・というより世界的にも珍しい。
アイルランドには撥の両先端を使う珍しい演奏方法のバウロンという太鼓があるが、まさか 雷神はアイルランドから雲に乗ってやってきたとか。


2017/03/12

フルート

むかしむかし(ヨーロッパ・バロック音楽の時代)は、筒状で穴をふさいで音を変える笛は、縦型であっても横型であっても「フルート」と呼んでいたらしい。
どちらかと言えば縦型(現在のリコーダー)のほうをフルートと呼び、横型の笛は、わざわざ「横型のフルート」という表現をしていたという。
どういう経緯かはよく分らんが、現在ではフルートといえば横型を指すことになっている。標準的なフルートは長さが65センチメートルほどのC調の楽器。
C管フルートは、メロディを演奏する楽器としては高すぎず低すぎずで心持よろしい音高であり、一番普及しているタイプだね。
低い調では「アルト・フルート」とか「バス・フルート」があり、アンサンブルなどで活躍する。
標準のC管フルート と U字頭部管のアルトフルート
標準のC管フルート と U字頭部管のアルトフルート
だけどまあ、管を長くすれば低音が出るという物理法則にのっとり、とんでもなく低音のフルートも存在するんだよ。
コントラバスフルート と サブ・コントラバスフルート
コントラバスフルートサブ・コントラバスフルート
ピッコロ piccolo flute
ピッコロ


ピッコロもフルートの仲間
ピッコロ (piccolo)は、「小さい」という意味なので、ピッコロ・フルートが省略された名前。







2017/02/01

バグパイプ

バグパイプといえば スコットランドのグレート ハイランド バグパイプが有名なので、キルトをまとったおじさんが演奏する姿を思い浮かべるかもしれない。
でもね、ヨーロッパの各地にはたくさんのバグパイプがあります。
ガイタ・デ・ボト
gaita de boto

スペインのバグパイプ
ガイタ・デ・ボト gaita de boto  スペインのバグパイプ
チンポイ
cimpoi

ルーマニアのバグパイプ
チンポイ cimpoi  ルーマニアのバグパイプ

ドゥダス
dudas

ラトビアのバグパイプ
ドゥダス dudas  ラトビアのバグパイプ

ガイディ
gajdy

ポーランドのバグパイプ
ガイディ gajdy  ポーランドのバグパイプ

サックピーパ
sackpipa

スウェーデンのバグパイプ
サックピーパ sackpipa  スウェーデンのバグパイプ

ヒュンメルシェン
hummelchen

ドイツのバグパイプ

ヒュンメルシェン hummelchen  ドイツのバグパイプ
ほかにも、数々のバグパイプがあります。私家版楽器事典をみてください。

2016/11/02

ハーモニカの元になった東アジアの大発明・・・フリーリード

フリーリード
クラリネットや、オーボエなどもリード楽器であるが、これらは管の長さ(孔の位置を変える)によって音程が決まる。
対し、笙の仲間の音程はリードの固有振動による。だからその音程に見合ったリードが複数組み込まれている。後にフリーリードと呼ばれることになるアジアで生まれたこの大発明は、ハーモニカ、アコーディオン、リードオルガンなどに取り入れられた。

ケーン(Khene)
ラオスやタイで使われている。フリーリードの管楽器。
古く伝統ある中国のシェンも、このケーンが元になっていると云われている。大小様々なサイズがあり、筒の長さが2メートルほどのものもある。
ケーン Khene)
ケーン Khene


ルーシェン (芦笙/蘆笙)
ルーシェンは、ベトナムやラオス、中国南部に住むの苗族(ミャオぞく)の笙。
吹き口が長いのが特徴でまるでサクソフォンのような構えで演奏する。大小様々なサイズがある。る。
ルーシェン 芦笙/蘆笙
ルーシェン 芦笙/蘆笙


シェン(笙)
中国の笙。カタカナではションと書かれる場合もある。
中国では2000年ほどの歴史があると云われているが、もっと古くはラオスやタイが発祥の地だといわれている。日本の笙(しょう)は中国からシェンが伝わったもの。
シェン/ション(笙)
シェン 笙


しょう(笙)
日本の笙。
残念ながらというか何というか、日本で生まれて日本で育った日本固有の楽器というのは見当たらない。楽器はすべてと言っていいくらい中国大陸から渡って来た。日本の笙も雅楽などで使う楽器として中国から伝来したもの。
しょう 日本の笙
しょう 笙



2016/08/18

ヨーロッパの低音金管楽器

セルパン Serpent

セルパン Serpent
セルパン Serpent
1700年代中ごろから使われ始めた古い時代の楽器。
セルパンは蛇の意味。クネクネとした形状からその名が付いたのだろう。
バルブの無い時代であるので、木管楽器のように管の途中にある穴をふさいだり開けたりして音程を変える仕組みになっている。
このイラストはコントラバスセルパンで1800年代中ごろに作られた。セルパンの中でも最大級。まるで大蛇のようにでかいのでアナコンダという名で呼ばれていたこともあったようだ。

オフィクレイド Ophicleide
1817年にフランスの楽器製作者によって考案された楽器。これも、管の途中にある穴をふさいだり開けたりして音程を変える仕組み。
オフィクレイドはオーケストラでも使われるようになったが、すでにバルブが発明された時期でもあり、しだいにバルブ機構を備えたチューバなどに低音楽器の座を譲っていくことになる。

ヘリコン Helicon
ヘリコン Helicon
ヘリコン Helicon
肩にかついで行進の時でも使えるようになっている低音金管楽器。現在普及しているスーザフォンはヘリコンをもとにアメリカの音楽家スーザが考案したもの。

チューバ Tuba


チューバ Tuba
チューバ Tuba
1800年代の中ごろ、ボンバルドンという低音楽器が作られ、チューバも同じころ作られた。
ボンバルドンとチューバは似た楽器で軍楽隊で使われたのがボンバルドン、交響曲で使われたのがチューバと呼ばれれていたこともあったようだ。
現在では低音金管楽器の代表としてチューバという名が残っている。

ワーグナー・チューバ Wagner tuba
ワーグナーが「ニーベルングの指環」の上演に当たり、新たな音色を取り入れるべくオーケストラに採用した。
ホルン(フレンチホルン)の奏者が持ち替えて演奏できるよう、左手操作になっている。低音域というより中低音域の楽器というほうがいいかもしれない。